日帰り硝子体手術

眼球の中には硝子体という透明なゼリー状の組織があります。この組織が網膜を牽引したり、炎症を持続させたり、混濁や網膜の血管からの出血を起こし、網膜へ光が達する邪魔をし、視力低下を招きます。
硝子体手術というのは、この硝子体を切除し網膜の機能を回復させるための手術です。
眼科分野でも最も難しい手術の1つです。

日帰り硝子体手術

眼球に穴を3つ開けて、硝子体内で種々の手術操作を行う眼内手術での硝子体手術は、近年、様々な手術装置、手技が開発され、手術の安全性が高まるとともに、手術成績も向上してきています。
中でも小切開硝子体手術は、手術による侵襲が極めて少なくなりました。
当院でも無縫合での小切開硝子体手術を日帰りで行っています。
日帰り硝子体手術のメリットは、日常生活あるいは社会生活へ早く復帰できることです。

日帰り硝子体手術が適応される主な病気

糖尿病網膜症

糖尿病網膜症は、糖尿病腎症・神経症とともに糖尿病の3大合併症のひとつで、我が国では成人の失明原因の緑内障に次いで第二位となっています。
血糖が高い状態が長く続くと、網膜の細い血管は少しずつ損傷を受け、変形したりつまったりします。血管がつまると網膜のすみずみまで酸素が行き渡らなくなり、網膜が酸欠状態に陥り、その結果として新しい血管(新生血管)を生やして酸素不足を補おうとします。
新生血管はもろいために容易に出血を起こします。
また、出血を繰り返すと網膜にかさぶたのような膜(増殖組織)が張ってきて、これが原因で視力低下や網膜剥離を起こすことがあります。

黄斑上膜

黄斑部網膜の上にある後部硝子体皮質が、半透明の膜状の組織になったものが黄斑上膜です。硝子体の加齢性変化が原因と考えられます。
黄斑上膜が収縮することにより網膜にしわがよったり、網膜がずれたり、中心部に水がたまったりすると見え方が影響されます
黄斑上膜の厚み、収縮の度合いなどによっては、視力が低下します。
ゆがみがひどくなったり、視力が著しく下がるときは膜を除去する硝子体手術を行います。
黄斑上膜がすべて見え方に影響するわけではなく、自覚症状のない黄斑上膜もたくさんあります。